みなさんこんにちは!株式会社インゲージの水谷です!
コロナが流行してから、「オンライン受講で誰でもWebデザイナーに」みたいな謳い文句のオンラインスクールが増えたような気がします。
今回は、私が調査したオンラインスクールの受講内容をもとに、実際にそれでデザイナーとして活躍できるのか、どのくらいの時間がかかるのかについて考察していきたいと思います。
あくまで私の主観になりますが、キャリアチェンジや副業で「Webデザイナーになってみようかな」と迷ってる方の参考になれば幸いです。
- 「Webデザイナー」の定義
- オンラインスクールの受講内容
- 受講完了したらどうなるか
- 受講完了してからの活動について
- どのくらいで一人前のWebデザイナーになれるのか
- 現役デザイナーとしてデザインで稼ぐためのアドバイス
- まとめ
「Webデザイナー」の定義
まずは、Webデザイナーと呼べる人材についての定義をします。
仕事でデザインを行う際の、最低限身につけておかなければならない最低条件と言ってもいいでしょう。
1.調べる力があること
デザインのアイデアを出す際に、的確で早い参考サイトなどの情報を選出できるか。
コーディング中にわからないことが出てきた時に素早く補填できるか。
基礎能力や経験がそこまで高くなくても、これらができれば現場でも十分活躍できます。
2.既存Webサイトをトレースしてデザインラフを起こす描画スキルがあること
IllustratorやPhotoshopでデザインを「ほぼ完璧に」トレースできるようになってなければならないと私は考えております。
経験が浅いうちは特に、他サイトの模倣をベースに諸々の調整やオリジナリティを付与し、デザインを作っていくことが多いです。
その際に、きちんとデザインを模倣できる基礎能力を持っていないと、案件としてのクリエイティブを作ることは困難だと考えております。
オンラインスクールの受講内容
私が独自に複数のWebデザイナー系オンラインスクールのカリキュラムやシステムを調査しました。
受講期間や値段、カリキュラムの細かい内容こそ違えど、システムやカリキュラムの構成はどこも似ていて以下のようになっておりました。
1.受講生にはメンター(講師)が1人つく
受講すると専任のメンターが1人つき、週1回のメンタリング(通話指導)を行うことができます。
メンタリングの時間はスクールによりますが、1回30分か60分ですね。
そこでカリキュラムのわからない点を聞いたり、実際のデザインの現場の話を聞いたりできます。
家庭教師みたいなイメージですね。
2.メンター複数人といつでも話ができるチャットサービスを利用可能
SlackやChatworkなどのチャットツールを使い、先述のメンタリングとは別でメンターと話ができます。
チャットグループ内は受講生+複数のメンター+運営が所属している状態となっており、他の受講生は見れないので気軽に質問することができ、複数のメンターの誰かが質問に気付き次第すぐ回答する形式ですので非常に早くて便利です。
3.カリキュラムの構成は主にPhotoshop+コーディング
カリキュラムの細かい内容はもちろんスクールによって違いますが、大体の流れは同じでした。
まず最初に「Webサイトがどうやってできているのか」「Webデザイナーは具体的に何をするのか」「Webデザインの原則(レイアウトやカラーなど)」といった基礎知識を学びます。
基礎を学んだあとは、Webデザインの定番ツールであるPhotoshopを使い、バナーデザインやWebデザインカンプの作成など様々な課題をこなします。
その後はHTML/CSS/JSといった、Webサイトのコーディングを学びます。最初はコピペベースでコードに触れ、徐々に自力でサイトコーディングができるようにしていくという流れでした。
受講完了したらどうなるか
前述のカリキュラムを完了した段階で、デザインの概念とWebデザインの仕組みの理解、基礎の制作スキルは習得することができると感じました。
決して安くはない受講料金を払った分の価値は十分にあると私は考えます。専門学校や大学に行くよりははるかに安く、効率もいいと思いました。
しかし、まだ圧倒的に実践経験が足りないので、最初に定義した「Webデザイナー」の定義における2の条件を満たせているかと言われると私としては疑問符が残ります。
デザインはスポーツと同じです。仮に野球で例えると、野球のルールやバットの振り方、ボールの投げ方がわかったとしても、実際に試合でヒットを打てるか、守れるかと言われるとあまりできないですよね?
従って、受講を終了したばかりの状態では現場でデザイナーとしてすぐ活躍するのは難しいというのが本音です。
では、受講完了してから何を行えばいいのか?次項でそれを解説します。
受講完了してからの活動について
「なんでもいいからデザインを続けること」と「当たって砕けろ精神で採用活動/案件獲得に動く」です。
1つ目に関しては、個人制作でもいいのでデザインをどんどん作っていくこと。
これが一番大事で、作れば作るほどいろんな発見ができるので、どんどん理解も深まりますし、作業効率も上がっていきます。
例えば自身のポートフォリオサイトや名刺を作ってみたり、既存サイトのトレースやコーディングをやってみましょう。
2つ目に関しては、先ほど「現場でデザイナーとしてすぐ活躍するのは難しい」とは言いましたが、それでも採用活動/案件獲得のために尽力しましょう。
デザインの現場は基本的に常に人手不足ですので、猫の手も借りたいような状況の会社がもしあれば経験が浅くても依頼をしてくれたり採用してくれるところもあるかもしれません。
経験が浅いため報酬は安い可能性が高いですが、それでも実際の案件をこなすという経験は大事です。
採用を狙うのであれば一般的な会社だけでなくデザイン事務所やベンチャー企業などを探して応募してみましょう。副業なのであればクラウドワークスやランサーズなどで掲載されている案件にどんどん応募しましょう。
どのくらいで一人前のWebデザイナーになれるのか
結論として完全未経験からデザイナーとして採用される/案件を安定的に獲得できるようになるまでどのくらいかかるか。
私は早くて6ヶ月、長くて1年だと考えています。
学習ペースによりますが、学習にフルコミットできるのであれば、前述のスクールにおいては3ヶ月コースで習得が可能です。(もし本業の傍らで無理なく進めるのであれば4ヶ月コースとなります。)
加えて、転職活動/案件獲得活動に関しては最初の方は撃沈することが多いでしょう。ここは不確定ではありますが、デザイン活動を続けつつ熱意を持って挑めば、おそらく4-6ヶ月もあれば何かしらの機会は訪れる可能性は高いです。
それらを総合すると、現場でWebデザイナーとして働ける環境になるのが6ヶ月〜1年ほどとなるはずです。
上記を目安として、デザイナーとして継続的に頑張れる覚悟があるかを考慮した上でスクール受講や副業化のご判断をしていただければと思います。
ちなみに私は大学を卒業してから入ったデザイン事務所で、初めてWebデザインに触れ(というか無茶振りされ)最初の1ヶ月でなんとか案件のサイトを作成しました。その後勉強と事務所に入ってくる案件をこなしつつ、営業して案件を獲得できるようになったのは約6ヶ月ほど経った頃でした。
現役デザイナーとしてデザインで稼ぐためのアドバイス
最後に、10年以上かけてデザイン事務所やベンチャー企業で働き、デザイナー採用担当としても活動した経験のある私からのアドバイスです。
1.最初は大変やけどめちゃくちゃ楽しいから頑張ろう
デザイナーをはじめとしたクリエイティブ職(イラストレーターやエンジニアなどもそうです)は、営業などと違いもたらす利益を数値化しにくい職種です。それが故に報酬も足元を見られがちですし、いいものを作るために時間がかかるのに対し納期があるので大変なことも多いです。
ただ、自分の作ったデザインが世に出るのは、他では味わえない楽しさです。なので私も10年以上デザインを生業として続けることができています。
ぜひできる限り多くの方にこの楽しさを味わってほしいと考えています。
2.熱意があれば、なんでもできる
デザイナーとして採用/案件獲得するのに一番大事なのは実績やスキルより熱意が一番大事だと思っています。
継続してデザイナー活動を行うモチベーションも然りですし、仮に実力が多少足りなかったとしても熱意があれば吸収が早いので、すぐに現場で活躍できるようになります。
私が前職で採用担当をしていた際、とある傘ブランドのECサイト運用担当としてバナーやサイト小改善を行っていた女性が応募してきました。
前職はWebサービスを開発・運営していたベンチャー企業で即戦力のデザイナー(つまりサービスデザイン経験者)を求めていたので、採用要件的には足りなく書類だけで見ると不採用になるのですが、面談を行った際に熱意が非常に高かったので成長期待を込めて採用しました。(社長もそういう人が好きでした)
私の予想通り入社してからメキメキ成長し、1年もかからない内に最前線として活躍するデザイナーになり、結果として大成功となりました。
このように、大手などかっちりした会社であればどうしても書類で落ちがちですが、中小やベンチャー、デザイン事務所などであればこういったチャレンジの機会も存在します。こういったチャンスを掴むために、継続と熱意が一番大事だと私は考えております。
まとめ
非常に長い記事となってしまいましたが、ここまで読んでくださりありがとうございました。
副業でも本業でも、今後デザインをやってみたい方やデザインに興味のある方に少しでも参考になれば幸いです。
デザインに限らず、どんなジャンルにおいても新しく何かを始めるには相応の熱意と努力が必要です。ただ、その中でもデザインはあらゆる業態で必要とされる技術で需要もあり、何より楽しいのでぜひ前向きな姿勢で頑張ってください。