こんにちは。ingageでPMをしているときりょです!
ここ1年でPMの働き方が大きく変わっているのを感じます。
ちょっと前までは、1週間1スプリントのスクラムを、自分なりにうまく使いこなせている感覚がありました。 月曜にプランニング、金曜にレビューと振り返り、毎朝デイリースクラム。リズムが体に染みていて、迷いなく回せていました。 AIによって開発速度が爆速になってから、その感覚が崩れてきています。
方針相談や意思決定が必要なタイミングが、もっと短いスパンで発生するようになったのです。 方向性の修正も2〜3日でぽんぽん発生する。1週間1スプリントの計画の枠に、もう収まりきりません。
結果として、今うちのチームに残っているのは、月曜の全社スプリントレビューと、金曜の振り返りくらい。 それ以外のプランニングや進捗確認は、必要に応じて様子を見て実施する、という運用になってきました。
価値を爆速で作るという意味では、今のやり方になるのは必然だと思います。 ただ、ここまでくると、スクラムにこだわる必要ってあるんだっけ? という疑問が湧いてきました。
せっかくなので、AI時代に合うアジャイル手法ってどんなものがあるのか、ちょっと調べてみます。
同じことで悩んでいるのは、自分たちだけじゃない
調べてすぐ分かったのは、これはうちだけの話じゃないということでした。
吉羽龍太郎さんのインタビューでは、こんな指摘がありました。
「AIでコーディングは速くなったけど、企画側の準備が追いついていない」
レビュー自体はAIの恩恵もあって意外と追いつけている感覚がありますが、企画側、つまりPM側の負荷は明確に上がっています。 方針が2〜3日単位で更新されると、その分だけAIを活用しながら、「何を作り、どう売り出すか」を整理する側の頭の回転を上げないといけません。
業界全体としても、スクラムは「とりあえずやっておくもの」になりつつあるそうで、形骸化したセレモニーが週5時間の非生産的会議として開発者の時間を食っている、というデータもありました。
AIで開発が速くなった結果、相対的にスクラムの「重さ」が目立つようになってきている、ということなのかもしれません。
選択肢を並べてみる
各所で語られているアプローチをざっくり並べると、こんなグラデーションになっていました。
- セレモニー軽量化:デイリーをSlack投稿に、レビューを動画デモに置き換える
- Scrumban:スプリント計画は残しつつ、タスクはWIP制限でプル型に
- Shape Up:6週間サイクル+2週間クールダウン、上流で「Shaping」する
- フロー型:スプリントを廃止、継続的にプル&デプロイ
- AI-DLC:小チーム+AIでモブ化、ロール固定なし
- Water-Scrum-Fast:上流は固定(要件・アーキ)、下流だけ超短サイクル
面白いのは、「フロー型」と「Water-Scrum-Fast」が正反対の立場から同じ問題を解こうとしていることでした。
- フロー型:「スプリントなんていらない、流せばいい」
- Water-Scrum-Fast:「むしろ上流は固定しろ。AIには曖昧さが毒だ」
どっちが正解、というよりも、作っているプロダクトや組織の成熟度によって解が違う、という話なのかもしれません。
一番共感したのは「機能を増やすな」という話
色々読んだ中で、吉羽さんのこの言葉がありました。
「AIで余った時間は、機能を増やすんじゃなくて仮説検証に使え」
アウトプット → アウトカム → インパクト、と価値の階層を上げていく。 アジャイルの本質そのものです。
AIで速くなったぶん、機能を増やしたくなる気持ちもあるのですが、機能数の増加=ユーザー満足度の向上とは限りません。 むしろ複雑化で満足度が下がるリスクもあって、空いた時間はインタビューや検証に充てるべきだという考えは重要だと思います。
「速くなったから、速く作る」じゃなくて、「速くなったから、ちゃんと考えて最大化する。ちゃんと考えるために、動かせるようになったリソースを使う」。 PMとしては、この姿勢がしっくりきます。
これからどうするか
ここからは完全に感想なのですが、「スクラムをやめるか/続けるか」の二択で考えるのは違う気がしてきました。
弊社では月曜に全社でスプリントレビューをおこなっています。 「何を作っているか」だけでなくその背景や方向性を同期し、FBを通して営業やサポートさんと一緒にプロダクトを作っていく場として、本当に価値を感じています。
金曜の振り返りも、最近は中身がはっきり変わってきました。 昔は「この時の連携のやり方がどうだった」「次はこういう動き方をしよう」みたいな人が中心の話だったのが、最近はもっぱら「いかにAIを活用できたか」「どんなふうにAIを使えばもっと早くなるか」に集中しています。 結局、ここに向き合うのが一番大きく開発を改善できるからです。
つまり、残っているセレモニーは、AI時代の今でも明確に価値があるものに自然と絞られてきている気がします。
悩んでいるのは、それ以外のアクション、たとえば中規模なプランニングや進捗確認をどう設計するか、です。 2〜3日で方向性が変わる前提で、何を、いつ、どの粒度でやるべきか。 ここはまだ答えが出ていなくて、これから実験していく領域だなと思っています。
まとめ:前提が変わっただけで、本質は変わらない
スクラムは「教科書どおりにやればその価値がわかる」、ありがたい仕組みでした。 AIで開発速度が変わったいま、その仕組みが、少しずつ窮屈になってきています。
新しい前提のもとで、自分たちのチームに合うリズムを、残すもの/変えるもの/捨てるものに仕分けながら見つけていく。 それ自体が、アジャイルの精神そのもの、と言えますね。
スクラムを捨てるかどうか、ではなく、「私たちのチームの今のリズムは何か?」を問い直す。 AIで爆速になった先にあるのは、たぶんそういうメタな問いなんじゃないか、と感じています。
うちのチームでも、ここから何度か実験を重ねていくことになりそうです。 うまくいったこと・うまくいかなかったことは、また別の機会に書きたいなと思います。
これからも着実に前進していきます🔥
最後に
最後までご覧いただき、ありがとうございました...!
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